コロナ禍において転職活動を継続するか否か、を考える
新型コロナウイルスの感染拡大は、企業の採用活動にも大きな影響を及ぼしています。実際私が所属する会社でも、騒動前は50ポジションほど募集をおこなっていましたが、現在は全ての募集を一時停止している状況です。一方で、この状況下でも採用活動を緩めない、むしろ採用強化を表明する企業も少なくありません。
参考/ 新型コロナウィルスが流行っても積極採用中の企業まとめ
転職活動を進めていた、あるいは検討していた方にとって、活動を継続するか否か、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。本記事では、「転職活動を継続するか否か」問題についてまとめていきます。
コロナ禍の転職は慎重になるべき(急ぎでなければ先送りする姿勢で)
私見としては、今からの転職活動は極めて慎重になるべきであると考えています。その理由は3点あります。
採用を見合わせる企業の存在
もともと4月は、新卒採用受入れや人事異動、法改正への対応等により、人事部門にとっての繁忙期です。加えて、コロナウイルス対応により既存社員の問い合わせや手続き対応、そしてオンラインでの入社受入れ対応等、多くの人事担当者が採用以外の業務にリソースを奪われています。
事業側(採用部門)では、事業計画の練り直しを迫られたことで、採用を一時保留するケースもあると想定されます。採用を継続する企業も多いとはいえ、あなたが希望する業界や職種がどのような動向となっているか、慎重に見極める必要があります。
オンライン面接への「急速な」移行
エンジニア等のポジションを中心として、オンライン面接の活用は飛躍的に進んでいるようです。今後の状況次第ではありますが、全ての選考プロセスをオンラインで対応せざるを得ないケースも増えてくるでしょう。
「面接方法」について伺ったところ、18.5%が「全てオンラインでの面接を行なっている」77.8%が「一部の選考プロセスでオンライン面接を取り入れている」と回答いただきました。
引用元: 【4/2発表】新型コロナウイルス感染拡大に伴う中途エンジニア転職市場への影響、実態調査ver.1 | エンジニア採用・育成・組織づくりラボ (by Findy)
オンライン面接は移動の負担なく選考をスピーディーに進められるメリットがある一方で、オフィスの雰囲気や一緒に働くメンバーの雰囲気が掴みにくいなど、情報収集不足によって入社後のギャップにつながる懸念があります。また、最近オンライン面接に切り替えた企業の場合、面接官がオンライン面接に不慣れなために、見極めが甘いままプロセスを進めることや、求職者に必要な情報提供をしていない等のケースが想定され注意が必要です。
コロナ後の社会変化
ここ数年堅調に推移していた人材マーケットですが、ここにきて陰りが見えています。
令和2年2月の数値をみると、有効求人倍率(季節調整値)は1.45倍となり、前月を0.04ポイント下回りました。
引用元:厚生労働省:一般職業紹介状況(令和2年2月分)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000212893_00032.html
コロナ後の経済がどのように推移していくかはわかりませんが、「リーマンショックを上回る」などの見通しも出ており、決して楽観はできません。
国際通貨基金(IMF)も、「同規模か、さらに悪い景気後退をもたらす」との見通しを表明している。
2008年末には、非正規雇用の契約を更新しない「雇い止め」や、派遣社員などの契約を打ち切る「派遣切り」などが行われ、会社の寮を出なければいけなくなった人たちが東京・日比谷公園に設けられた「年越し派遣村」に集まった。厚生労働省のまとめでは、2008年度卒で内定取り消しを受けた人は2143人だった。完全失業率は2009年7月に5.5%まで上昇した。
コロナ禍の転職活動を継続する場合
とはいうものの、転職理由は千差万別であり、人によっては今すぐ活動をせざる得ない方も多くいらっしゃるはずで、決して今の活動を否定するものではありません。オンライン面接などによって手軽に活動を進められるだけに、一時の直感で転職先を決めてしまうなど、「視野狭窄」に陥らずに意思決定いただきたいと考えています。最後に、視野狭窄に陥らないためのチェックポイントを3つ紹介して締めくくりたいと思います。
- 「なぜ転職をするのか」にもう一度立ち戻る
転職活動を進めるうち、目的を見失いがちになることがあります。今転職をすべきかも含めて、慎重に検討しましょう。
- 選考企業、友人・エージェントに勧められるままになっていないか
不安がある企業でも、いざ内定が出ると気持ちが盛り上がり気持ちが傾くことがあります。そんな時、周囲の声だけに頼って意思決定するのは非常に危険です。
- 給与だけに釣られていないか
給与アップに釣られての転職には後悔が付き物です。どんな裁量が与えられるのか、どのような行動が評価されるのかなど、しっかり理解をしたうえで意思決定をするべきです。
社会不安も大きく、先行きも不透明な状況です。このような状況であるからこそ、より一層慎重な転職活動をすべきだと考えています。転職活動へ踏み切る方には、後悔の無い活動となるよう、心から応援しています。