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転職で年収アップできたら幸せになれるのか、を考える

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 仕事選びをする際、「仕事内容」「働くメンバー」「勤務地」と様々な検討項目があるなかで、「給与」は誰しもが重視する項目です。実際にみなさんが転職を検討する際も、「給与が低い」「年収アップしたい」等、給与に関する理由が多いはずです。
 「マイナビ転職動向調査(2018年)」でも、転職活動を始めた理由(男性30代)で「給与が低かった」が1位となっています。

転職活動を始めた理由(単一回答)
【男性30代】
1位 「給与が低かった」18.4%
2位(同率) 「職場の人間関係が悪かった」10.2%
2位(同率) 「会社の将来性、安定性に不安があった」10.2%
・・・・

 果たして、転職によって年収アップしているのか、そして、年収アップできたら幸せになれるのか、そのあたりを一緒に考えていければと思います。
 

実際、転職者の年収はどうなったか

 厚生労働省が実施している「雇用動向調査(2018年)」から、「転職(入職)者の賃金変動状況」のデータから見ていきます。

【35~39歳】
転職後に給与が増えた 39.5%
┗1割以上の増加 28.6%
┗1割未満の増加 10.8%
変わらない 30.2%
転職後に給与が減った 29.6%
┗1割未満の減少 5.3%
┗1割以上の減少 24.3%

平成30年雇用動向調査結果の概要|厚生労働省

 35~39歳では、約4割の方が年収増、3割の方は年収変わらず、3割の方は逆に下がっています。私が転職エージェント時代にお手伝いしてきた方達も、おおよそ同じくらいの比率だった印象です。
 「年収アップしたい」という想いで転職活動を開始するも、結果として6割の方は年収維持もしくは年収が下がっているという事実を、把握しておくべきかと思います。

年収アップできたら幸せになれるのか

 それでは、年収増となった方がより幸せになったのかについて、内閣府発表の「満足度・生活の質に関する調査(2019年)」から紐解いていきたいと思います。この調査は、地域、属性、健康状況等様々な側面から生活満足度について調査されたもので、その中の「世帯年収別の総合主観満足度」を抜粋しました。(10点満点)

「100万円未満」5.01点
「100万円~300万円未満」5.20点
「300万円~500万円未満」5.68点
「500万円~700万円未満」5.91点
「700万円~1,000万円未満」6.24点
「1,000万円~2,000万円未満」6.52点
「2,000万円~3,000万円未満」6.84点
「3,000万円~5,000万円未満」6.60点
「5,000万円~1億円未満」6.50点
「1億円以上」6.03点

 「300万円~500万円未満」と「700万円~1,000万円未満」では0.56ポイントの増加となりますが、「1,000万円~2,000万円未満」と「3,000万円~5,000万円未満」ではわずか0.08ポイントの増加と、年収帯があがるにつれその伸びは鈍化していきます。

 例えるなら、学生時代に稼いだアルバイト代5万円の当時の満足度と、社会人になった現在の臨時賞与10万円の満足度を比較すると、そこまで変わらないか、むしろ学生時代のほうが高いという人もいるのではないでしょうか。つまり、給与の多寡と満足度の関係性は、その時の状況や価値観等、様々な要因が絡み合って決定しているのです。

まとめ

 転職者の年収と、そして年収別の満足度について見てきました。転職を検討するうえで「給与」は重要な項目であることは間違いありません。しかし実際には、年収維持(もしくはダウン)で転職するケースも多いことや、そして給与の多寡と満足度が必ずしも一致しないことを踏まえ、転職を考えていく必要があります。ではどうやったら満足度高い幸せな転職ができるのか、難しい課題ではありますが、これからも一緒に考えていきましょう。


参考文献 
鈴木祐「科学的な適職」(クロスメディア・パブリッシング)
週間東洋経済 特集給料最新序列 2019年9月28日号